今月の一字 【奉】

 

 

「奉」たてまつる 奉仕 人のために尽くす

 

” 自分が大事か、相手が大事か? ”

先日、高校生と話す機会があり、

「いざという時に自分を優先する?それとも相手を優先する?」という

話し合いをし、高校生の反応は半々でした。

私は、独立したての頃のイベントでの体験の話をしました。

当時、お金に困っていました。イベントで色紙に文字を書いて、1枚2000円で販売。

私の中では、1枚でも多く売って売り上げを上げたいと思っていました。

 

目の前に1人の女性が立った時、

来た!チャンス!、お金になるという思いを抱えながら、私は彼女と話し始めました。

「名前はなんていうの? 名前の文字にはいろんな意味があると思うよ。

何か今、欲しいものとか、こうなったらいいなと思うことある?」などと、

だんだん話していくうちに、彼女にとって、どの言葉が一番気持ちに響くのだろうか。

私の意識は、そのことに集中していきました。

彼女が明るく前向きになってもらえるような言葉は…と

探りながら彼女の想いを感じ取ろうと話をしました。

 

なんという文字を書いたかは覚えていませんが、

書きあがった色紙を見て彼女の目から大粒の涙がこぼれました。

はっとしました。私が毛筆で書いた言葉が彼女の心に響き、感動されたのです。

私の書いた文字で泣いてくださった。

もちろん彼女は喜んで、そして感謝の言葉を残して帰って行かれました。

 

これが、仕事の醍醐味ということか…と実感したはじめだったと思います。

きっとこの色紙は、身近なところに飾ってもらえるだろう。

そして、彼女の心を慰め、元気にしてくれるだろう。

独立して仕事のやりがいを初めて感じたエピソードでした。

 

仕事の原点。

相手のため、世の中のためになるからこそ喜んでもらえて、

それが報酬と感謝の言葉として自分に返ってくる。

そう思えば、相手が先。

そう思える自分の思い方、受け止め方が素晴らしいと思えば、自分が原点。さてさて…。

有限会社楠本書院
代表取締役:楠本 廣子

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